■目次 1. 離婚協議書とは 2. 離婚協議書に記載すべき内容 3. 離婚協議書を作成する流れ 4. 離婚協議書...
50歳以降の方の離婚相談
50歳以降で離婚をお考えの方へ
当事務所に離婚相談に来られる方の中には50歳を過ぎた方も多くいらっしゃいます。なかには60歳を過ぎた方もいらっしゃいます。このように、年代を重ねた方が離婚するケースは、現在「熟年離婚」と呼ばれ、メディアにも取り上げられています。(一般的には結婚生活20年以上の夫婦の離婚のことを指している)
子どもが独立するまでの間は,子ども中心の家族生活を何となく送ってきましたが,夫婦二人になって
・「このままこの人と一緒に人生を終えていいのだろうか」
・「本当の自分はもっと違う人生を歩みたかったはず」
・「今ならまだ体力もあり,色々なことにチャレンジできるのでは」
といった思いから,離婚を考えられる方が多いようです。私が相談を受けたなかには,現在の配偶者とは違う方と新しい人生をスタートさせたいという思い切った発言をされる方もいらっしゃいました(新しいパートナーとの不貞関係が認められる場合は,相手方配偶者の対応次第ではそもそも離婚が困難なケースもあり得ます)。
若い夫婦の離婚とは異なる特徴
若い夫婦の場合,資産を保有していないことが多いことから,専ら争点となるのは親権や養育費,慰謝料であることが一般的です。
一方で,熟年離婚の場合は,ある程度の資産が形成されていることが多いことから,財産分与や年金分割,時には退職金(定年退職があと数年に迫っている場合など)が争点となってきます。
財産分与の対象としては,自宅不動産や保険,株式など多岐に渡り,その一つ一つについて分与の方法を具体的に決めていくことが必要となります。
特に,不動産については,現在の価値や住宅ローンの返済状況,さらには購入時の頭金の捻出先などを考慮して具体的な分け方を検討することになります。生命保険についても,解約返戻金が多額になっていることもあり,別居開始時の解約返戻金を調査することが必要となります。
また,あと数年で退職金が貰えるといった状況の場合は,将来の退職金を財産分与の対象とするのかという点が問題となったりします。
退職金が財産分与に含まれるかどうかについては,現在勤めている会社の業績や経営状態,退職金規定の内容などによって判断されます。
退職金が支払われる可能性が高いかどうかで,財産分与に含まれるかどうかが決まるのです。一般的に上場企業や官公庁等,倒産の確率が著しく低い勤務先の場合には,財産分与の対象として認められるケースが多いです。
また,退職までの期間も重要であり,50歳代であれば10年以内に退職金が支給されることから,財産分与の対象となる場合がほとんどです。私の担当した実際の離婚裁判においては,退職金規定に基づいて別居開始時における退職金を計算し,その2分の1を分与の対象と認定している場合もありました。
以上のように,50代・60代の方の離婚では,子どもの問題が争いとなることが少ない一方で,財産分与や年金分割など,金銭が問題となるケースが多く見受けられます。
これらの計算や資料の収集,主張立証の組み立ては複雑な面がありますので,離婚問題の経験豊富な弁護士にご相談されることをおすすめいたします。
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