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モラルハラスメント

 

1 モラルハラスメントとは

モラルハラスメント(モラハラ)とは、DVのような身体への直接の暴力ではなく、言葉や態度によって、相手に精神的な苦痛を与える行為全般をいいます。簡単にいうと、配偶者に対するいじめや嫌がらせです。具体的には、夫婦の一方が自分の偏った価値観や考え方を一方的に相手に押し付け、相手の行動の自由や精神的な自由を奪ってしまうようなケースがよく見受けられます。

少し前から「モラハラ」という言葉がマスコミなどにも多く取り上げられています。当事務所にも、多くの方が、自身がモラハラを受けているのではないか、相手の言動がモラハラではないか、またモラハラ夫と離婚したいなど、「モラハラ」を原因に離婚の相談にいらっしゃいます。裁判所が発表する司法統計というものによると、妻から夫に対して申し立てられた離婚の理由のうち、「精神的に虐待する」というモラハラに該当する項目が上位に位置づけられています。モラハラの相談は年々増えていっている傾向にあります。

なお、司法統計にも表れているとおり、モラハラの相談にいらっしゃる方は、圧倒的に女性が多数です。男性の相談もないことはありませんが、女性に比べるとごく少数です。しかし、モラハラは、夫から妻にだけ成立するものではなく、妻から夫へのモラハラも成立し得ます。今後は、妻から夫へのモラハラのご相談も増えていくと思われます。

2 モラハラをする人の特徴や傾向

一般に、モラハラとは上記のとおり定義できますが、実際に、何がモラハラに該当するかは、ケースバイケースで判断せざるを得ない面があります。但し、モラハラをする人やモラハラの被害について、一定の特徴や傾向はあります。以下の特徴に当てはまる数が多いほど、実は、相手からのモラハラ被害にあっている可能性が高いといえます。

1.過去の成功や実績にすがる(自己顕示欲が強い)
2.自分の非を認めない(謝らない)
3.間違いや失敗を人のせいにする
4.物事を自分の都合に合わせて解釈し、その結果ウソをつく
5.気に食わないことがあると無視をする
6.親族・友人の人格を否定し馬鹿にされる
7.自分より下の存在として馬鹿にされる
8.自分の意見を全く聞いてくれない
9.激しく嫉妬し束縛する
10.突然怒り出したり、大きな声・大きな音を立てて威嚇する
11.人の話に共感しない(「でも」「でも」「だって」ばかり)
12.仕事を辞めさせたり、友人との付き合いを制限したりする(家庭外との隔絶)

必ずそうとは言いませんが、モラハラをする人は、世間的には「エリート」といわれるような職業の方で、かつ、ご自身も「エリート」意識を持たれている方に多く見受けられます。自身の「エリート」意識を高めるために、自分を高めていくのであれば何の問題もありませんが、モラハラをする人は、自分を高めるのではなく、反対に自分以外の存在を貶めることで、自分の価値を相対的に高めようとしがちです。その貶める対象の最たる存在が最も身近にいる配偶者です。配偶者の行動や自由を制限して、配偶者を自分よりも下の存在と刷り込んで支配することで、自分は安心を得ようとします。

そのために、モラハラの被害を受けている方の中には、「怒られるのは自分が悪いんだ、自分のせいなんだ」という思考に陥ってしまい、モラハラの被害に遭っていることに気づかない方もいます。

人は自分のことはわかっているようでわかっていないことが多々あります。「自分が悪いんだ、自分のせいなんだ」とご自身を責める前に、少しでも相手の言動がモラハラではないかと感じた場合には、友人や親族などの第三者に相談してください。当事務所は1時間無料の法律相談を実施していますので、当事務所にご相談においでいただくこともできます。離婚を決意されていなくても大丈夫ですので、お気軽にご連絡をください。

3 モラハラでの離婚が難しい理由

民法には、不貞行為などの離婚理由が列挙されていますが(民法770条第1項)、残念ながら、民法に規定された離婚原因の中には、モラルハラスメントという言葉そのものはありません。

しかし、民法の離婚の条文には、「(その他)婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)と記載されており、相手の日々の言動(モラハラ)によって婚姻関係が修復不可能な程度に破綻していると認められる場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」として、離婚原因に該当します。

不貞行為の場合は不貞相手とのSNSのやり取りなど、身体的なDVの場合は、DVによって生じたケガの診断書やケガの部位の写真など、客観的な証拠が存在する場合があります。

一方、モラハラは相手の言動によって日々積み重ねられていくもので、DVや不貞行為と異なり、明らかに目に見えるものではありません。そのため、客観的な証拠というものが存在しない場合がほとんどです。相手のモラハラを録音・録画するということも考えられはしますが、モラハラを受けている状況を録音・録画するというのは、大きな勇気をいるものであまり現実的ではありません。このように、モラハラについては、証拠を集めにくいため、モラハラ行為を立証することが難しい場合があります。

また、先にも記載しましたとおり、モラハラ被害者の中には、自身がモラハラの被害を受けていること自体に気付いていない場合もありますし、そもそもモラハラの加害者は、被害者の言うことを聞こうすらとしない場合がほとんどで、当事者間だけでの話し合いでは解決しづらい側面が否めません。ここに、モラハラでの離婚が難しい理由があります。

4 モラハラでの離婚の進め方

モラハラでの離婚に限るわけではありませんが、離婚の進め方は以下のような流れになります。

・話し合い(協議離婚)

・離婚調停

・離婚裁判(離婚訴訟)

⑴ 話し合い(協議離婚)

夫婦同士の話し合いで、離婚について合意ができる「協議離婚」が最も時間も手間も費用もかからない方法です。したがって、協議離婚で夫婦関係を解決できるのが、理想的な方法です。

しかし、モラハラの離婚では、モラハラの加害者は、そもそも被害者の言うことを聞こうとすらしない場合がほとんどですし、被害者は精神的な圧力をかけ続けられてしまって、相手に離婚を切り出すことすらできない場合もあり得ます。モラハラの案件では、夫婦が対等に離婚について話し合いができる状態ではないケースが多いといえます。

また、モラハラをする側は、モラハラをするくせに、離婚自体は望んでいなかったり、自分の言動が正しいと思い込んで自身の非を認めない傾向にあり、その結果、離婚を頑なに拒んだりすることもあるので、夫婦だけでの話し合いではそもそも解決の舞台を作ることすら難しい場合もあります。

このように、残念ながら、モラハラでの離婚については、夫婦だけでの話し合いで協議離婚によって解決することは難しいかもしれません。

離婚を切り出すことすら難しい、離婚を切り出したけれど、全く話を聞いてくれないなど、夫婦だけでの話し合いでは全く進展しない場合には、弁護士に相談することも視野に入れていただけるとよいかと思います。第三者、しかも専門家である弁護士が介入することで話が進展する場合もあります。

⑵ 離婚調停

話し合いで離婚に合意できない場合には、日本では調停前置主義といって、家庭裁判所に対して離婚調停を提起する必要があります。離婚調停は、男性と女性1名ずつ、2名の調停委員が、夫婦それぞれの話を交互に聞いた上で、調整してくれます。離婚調停は裁判所の手続きですが、双方が離婚に合意しなければ、調停は成立しません。そのため、離婚調停を成立させるには、調停委員に相手が離婚に同意するように説得してもらわなければなりません。そのためには、調停委員に対して、証拠をもって、相手のモラハラ行為を詳細に説明し、こちらの離婚の意思が固く、婚姻関係を継続しがたいことを理解してもらう必要があります。モラハラの証拠が重要になりますが、以下のようなものがモラハラの証拠となり得ます。

・モラハラ行為を記載した日記

・相手の暴言の録音

・室内を破損した場合のその箇所の写真  

・相手からのメールやSNS

前記しましたとおり、DVなどと異なり、モラハラは、目には見えない相手の暴言等による精神的な苦痛であるため、どうしても証拠が集めにくくなります。モラハラの場面がスマートフォンで録音録画できる場合には、是非証拠として残しておきたいところです。また、相手の暴言がメールやSNSで行われる場合には、いわゆる「動かぬ証拠」になりますので、消去されてしまう前に是非保存しておきましょう。メールやSNSなどで直接的な暴言などが無くても、高圧的な文章を度々送ってきている場合には、モラハラ気質があることを推認させる状況証拠になり得ますので、メールやSNSはモラハラに重要な証拠になり得ます。

一概には言えませんが、モラハラをする人には、裁判所のような「権威」に弱い方がいるように感じます。夫婦間の話し合いでは、全く聞く耳すら持たなかったにもかかわらず、裁判所の離婚調停を提起し裁判所が間に入った途端、離婚の方向に話が進むこともあります。モラハラでの離婚については、裁判所の調停手続がとても有用なケースもありますので、積極的に離婚調停を活用することも検討してください。

⑶ 離婚裁判(離婚訴訟)

調停手続でも離婚に合意できなかった場合、離婚裁判(離婚訴訟)を提起せざるを得ません。裁判において、離婚が認められるには、裁判官に「婚姻を継続し難い重大な事由」、すなわち、相手のモラハラ行為によって、婚姻関係が修復不可能な程度に破綻していると認めてもらう必要があります。裁判では、調停にもましてモラハラの証拠が重要になります。先にも記載しましたとおり、証拠を集めにくいモラハラについて、モラハラ行為の録音録画や、暴言等が記載されたメールやSNSといった客観性の高い証拠は重要です。

しかし、このような客観的な証拠がない場合でも諦めないでください。モラハラでの離婚について、確かにただ「モラハラがあった」と訴えるだけでは裁判を勝ち切ることはできません。しかし、相手のモラハラ行為について、日時やシチュエーションなど、より詳細に主張することで、モラハラ行為を認定してもらうことも可能です。その他、ケースバイケースで証拠となるものを一緒に検討することもできます。今からでも遅くないので、自分の日記などに相手の行動や言葉をその都度書き留めておくことが大事です。

5 モラハラでの離婚の前提として別居をすべきか

モラハラのご相談を受ける際、相手に内緒で別居していいかどうか聞かれることがよくあります。インターネットを見ていると、勝手に別居することは、夫婦の同居義務違反や悪意の遺棄に該当する可能性もあるので、慎重に判断すべきという記載も見られます。確かに、内緒で別居を敢行することが、夫婦の同居義務違反や場合によっては悪意の遺棄に該当する可能性があることは否定しません。しかしながら、モラハラを受け続けていると、どんどんと心が追い込まれていき、体調を崩したり、さらにはうつ病などの精神疾患を患ってしまったりする場合もあります。

何より大事なのは心身が健康であることです。ましてや今後離婚を巡ってモラハラ相手と戦っていかなければならないのに、健康を害していては戦うこともままなりません。健康を害してまで同居し続ける必要はありません。相手に内緒で別居をしたとしても、その一事だけで「悪意の遺棄」と認定されることは皆無です。少なくとも当事務所の案件でその様に判断されたことはありません。相手のモラハラにこれ以上堪えられないと思ったら、躊躇せずに別居すべきです。また、モラハラをしてくる相手と、同居しながら、離婚の話を進めていくことなど現実的ではありません。離婚の手続きを進めていくのに先立ち、前提として別居することを検討すべきです。

別居するにあたっては、どうしても別居中の生活費が心配になります。これについては、相手より収入が低い場合には、「婚姻費用」として生活費を請求できます。相手が婚姻費用をすぐに払ってくれる場合はいいですが、払ってくれない場合には、直ちに家庭裁判所へ婚姻費用分担調停を提起してください。別居中の婚姻費用について相手と合意できない場合には、裁判所が収入等を考慮して婚姻費用の月額を決めてくれますが、その始期は婚姻費用分担調停を申し立てた月からとされています。そのため、相手が任意に別居中の婚姻費用を支払ってくれない場合には、速やかに婚姻関係分担調停を提起する必要があります。

6 モラハラ被害者の方へ

少しでもつらいと感じた場合や相手の言動がモラハラではないかと思った場合には我慢せずにご相談ください。モラルハラスメントの被害者の多くは「私が間違っている」「私が悪い」と思って我慢してしまっています。夫婦関係はあくまでも対等であるべきです。

弁護士にご依頼いただいた場合には、弁護士が交渉の窓口を務めますので、モラハラ相手からの無用なプレッシャーからも解放され、心身の健康を取り戻すことができます。

当事務所では、離婚の初回相談に限り、1時間無料で承っております。相談だけでも結構です。当事務所に相談に来られて、悩みを聞いてもらっただけでも、楽になりましたとおっしゃっていただく方も多くいらっしゃいます。モラハラに悩まれている方はぜひ一度当事務所にご相談ください。

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