■目次 1. 離婚協議書とは 2. 離婚協議書に記載すべき内容 3. 離婚協議書を作成する流れ 4. 離婚協議書...
相手に弁護士がついた方へ
相手に弁護士が就いたら直接話しはできないの!?
相手と離婚協議を進めていたところ、相手が弁護士を立てて、以後の協議は弁護士を介して進めると言い、夫婦間で直接話し合いができなくなってしまうことがあります。このように、相手から事前に弁護士を立てると言われている場合もありますが、離婚協議の最中に突然弁護士から「受任通知」(相手の代理人に就任したことと以後の相手の交渉窓口を弁護士が務めること等を記載した連絡文書)が届く場合もあります。場合によっては、相手方が前触れもなく、相手が家を出ていってしまい、弁護士からの「受任通知」がポツンと家に置かれていたという状況もあり得ます。
これまで夫婦で協議を進めていた場合には、「どうして!」と困惑することでしょうし、前触れなく弁護士から受任通知が届いた場合には、「弁護士からではなく、まずは直接相手である夫や妻から気持ちを聞きたい」という思いが募ることもあるかと思います。
しかしながら、離婚協議にあたって弁護士をつけるかどうかは、それぞれの当事者が自由に決定できる事柄ですので、相手に対して「弁護士を就けるな」と言うわけにはいきません。もちろん、相手が弁護士を交渉の窓口とすることが自由である反面、こちらは弁護士を相手の窓口とした交渉を拒否することはできます。しかし、この場合、相手としては、任意の話し合いでの離婚協議を進める手段が無くなってしまうことから、即座に離婚調停を提起するという選択を取らざるを得ない可能性が高まります。そうしますと、相手が弁護士を立てたからといって、その弁護士との交渉を拒否することは、かえって迅速な解決を阻害してしまうことになります。
重要なことは、弁護士を介した相手方の主張や提案の内容をよく理解し、適切な反論ないしは対案を提示することです。しかし、離婚が一生に一度あるかないかという一般の方と、法律のプロである弁護士を比較した場合、どうしても離婚に対する知識や経験に大きな差があります。相手の主張や提案の内容をよく理解しないまま、相手方の弁護士の提案する離婚条件をそのまま呑んでしまったといった話は少なくありません。
後になって後悔しないためにも、相手方に弁護士がついた場合には、こちらもまずは弁護士に相談していただきたいと思います。
相手に弁護士が就いた場合、自分も弁護士を就けないとダメなの!?
当事務所にも、相手に弁護士が就いたとおっしゃって、法律相談に駆け込まれる方は多くいらっしゃいます。その際、ご相談者から「相手に弁護士が就いた場合、こちらも弁護士を就けないとダメですか。」と聞かれることもよくあります。
結論を言えば、相手に弁護士が就いたからといって、こちらも必ず弁護士を就けなければならないというわけではありません。
また、「相手が弁護士を就けた場合、自分も弁護士を就けた方がいいですか。」と聞かれることもよくあります。
こちらも当然のことながら、弁護士を就けるのと、就けないのと、どちらが良いかと言われれば、当然弁護士を就けた方が良いと言わざるを得ません。離婚は一般の方にとっては、一生に一度あるかないかの出来事ですが、弁護士はたくさんの離婚案件を取り扱います。弁護士は、一般の方に比べて離婚に関する段違いの知識と経験を有しています。そのため、相手に弁護士が就いたのに、こちらが弁護士を就けないとすると、もはや武器対等の状態とは言えません。後悔しない離婚をするためにも、相手に弁護士が就いた場合にはこちらも弁護士を就けるのが望ましいと言えます。
相手に弁護士が就いたからと言って、こちらも弁護士を就けることは、必須ではないが望ましいと言えます。すべては後悔しない離婚をするために、相手に弁護士が就いた場合は、できればこちらも弁護士を就けてもらいたいと思います。
弁護士を就けない場合のデメリット(危険)
⑴ 離婚が不本意・不利益な方法へ進む危険
たとえこちらに離婚の原因があっても、結婚生活を続けていく中では、「言いたいことのひとつやふたつはある」というのが当たり前です。
しかしながら、相手の弁護士に「自分の話も少しは聞いてほしい」というご自身の本意を理解してもらえず、こちらの伝えたいことが伝わらずに、意図しない不本意な方向に交渉が進んでしまう危険があります。
また、前記しましたとおり、離婚の知識や経験に乏しいまま、相手の主張・提案をよく理解できないままに相手の提案どおりの条件を呑んでしまったというケースは稀ではありません。
また、離婚協議が整わず、離婚調停に移行した際には、公平な立場にある調停委員がお互いの話をフラットな立場で聞いてくれるのが原則です。しかし、法律のプロである弁護士が就いた側と、弁護士が就いていない側では、どちらが説得しやすいかは残念ながら明白です。あと少しの条件のすり合わせで調停成立という場面では、(すべてのケースでそうとは言えませんが、)弁護士が就いていない側が強く説得されてしまう場合は多いと言わざるを得ません。
さらに、離婚訴訟へとステージが進んだ場合は、離婚訴訟ではあくまで話し合いである調停と異なり、証拠に基づくお互いの主張の優劣によって結論が左右されます。離婚訴訟へとステージが進んでしまった場合は、法律のプロである弁護士と法律に関しては素人である一般の方との「力」(知識・経験)の差はさらに歴然となります。
このように、相手にのみ弁護士が就いた状況では、離婚が不本意・不利益な方法へ進んでいってしまう危険が高まってしまうといえます。
⑵ 時間を無駄にしてしまう危険
離婚は一生に一度あるかないかの出来事ですので、一般の方に離婚に関する知識や経験が無いことは当たり前です。相手の提案に対して、ご自身の考えた反論や対案が法律上通用するものなのか分からないという疑問をお持ちになることもまた当然です。
離婚にあたっては、子どもの親権や面会交流、養育費や離婚までの生活費(これを「婚姻費用」といいます)、そして慰謝料や財産分与から年金分割に至るまで様々なことを話し合って決める必要があります。また、財産分与の基礎となる資料の準備など、経験が無いと対応が困難な事項も多くあります。
最近は、市役所などの公的機関だけでなく、当事務所も含め無料相談を実施している法律事務所もあるため、これらの無料相談を利用することもできますが、必ず即時に対応してもらえるわけではなくどうしても時間はかかります。そもそも、経験したことのない離婚にあたって、次から次へと生じうる疑問をすべて無料相談だけで確認し解決していくことは難しいでしょうし、相談内容によっては、弁護士によって見解が異なる場合も考えられます。そうなってしまうと、さらに迷いが生じ、相談に費やした時間はかえって無駄になってしまう危険も生じます。
⑶ 精神的に疲弊してしまう危険
これまでも申し上げたとおり、多くの方にとって、離婚は一生に一度あるかないかという出来事です。ただでさえ不安に感じ精神を擦り減らすことになります。それに加えて、相手にだけ法律のプロである弁護士が就いた状況では、もはや武器対等ではなく、相手の弁護士の存在そのものが大きなストレスとなることは間違いありません。
後悔しない離婚を進めていくために、もっとも大事なことは、精神的に安定した状態を保つことと言っても過言ではありません。いつ終わるのか、自分の主張は正しいのか、自分の主張がどう受け止められるのか、常に不安を抱えた状況では、離婚の交渉が良い方向に進むわけがありません。仮に良い方向に進んだとしても、一人ではそれが良い結果であると確認して納得することが難しいために、結局離婚に後悔を抱えたままということにもなりかねません。
相手にだけ弁護士が就いたままの状態でいること自体、精神的に疲弊してしまう危険をはらみます。武器対等を取り返し、精神的な安定を取り戻すことが、こちらも弁護士を就ける大きなメリットとなるのは間違いがありません。
できればこちらも弁護士を就けたい!
離婚を多く取り扱う当事務所からしますと、以上のようなデメリットをできる限り回避し、後悔しない離婚を実現するためにも、相手に弁護士が就いた場合には、できればこちらも弁護士を就けてもらいたいと切に願います。後悔しない離婚に必要なのは、ご自身の不安や疑問に対して十分な情報を得た上で、ご自身で選択をすることです。
当事務所では、離婚相談については初回相談料を無料とさせていただいております。相手に弁護士が就いてお困りの方は、ご依頼の有無はお気になさらず、まずは一度当事務所にご相談ください。