■目次 1. 離婚協議書とは 2. 離婚協議書に記載すべき内容 3. 離婚協議書を作成する流れ 4. 離婚協議書...
財産分与 不動産
1 財産分与の対象となる不動産
名実ともに夫婦の一方が所有する財産のことを特有財産と言いますが、この特有財産については、財産分与の対象にはなりません。一方で、共有財産と実質的共有財産といわれる財産が、財産分与の対象になります。
一般的には、夫婦の一方が婚姻中に得た財産については、取得につき他方配偶者の協力があったものとみて、実質的に共有財産となると考えられています。例えば、夫が会社員、妻が専業主婦で、婚姻中夫が住宅ローンを組んで夫名義の住宅を購入した場合であっても、その住宅は実質的な共有財産とされることになります。
これは、夫の稼働の背後には、家事や育児に従事した妻の協力があったと解され、夫の収入を夫婦の実質的な共有財産とみて、その収入で取得された住宅も実質的な共有財産であると考えらえているためです。
2 財産分与対象不動産確定の基準時
原則として、別居時の(実質的)共有財産である不動産が、財産分与の対象となります。
3 財産分与対象不動産の評価方法
不動産価格の評価は、不動産業者に査定を依頼し、その査定書に基づいてなされることが通常です。当事者双方が不動産業者の査定書を提出し、その平均値で合意をすることが多いように思われます。
また、不動産を売却したときは、その売却額が不動産の評価額になります。
4 不動産の頭金を夫(または妻)の親が出した場合
例えば、婚姻中に夫婦共有名義で2000万円の不動産を購入したとします。ここに、夫の親が頭金200万円を出し、夫がこれを証明した場合、200万円は特有財産となります。
そこで、不動産の評価額が2000万円である場合、親が出した頭金200万円を差し引いた1800万円が清算対象となります。
5 住宅ローンが残っている場合
住宅ローンが残っている場合は、残債務額を債務として計上し、その分を差し引いた額が清算の対象とされます。
6 オーバーローン不動産の場合
不動産の評価額(評価額の算定方法については後述します)からローン残高を引いて、マイナスとなる場合をオーバーローン状態といいます。
一般に、プラス財産の総額から借金を差し引いた残額が、財産分与の対象財産になると考えられています。そのため、夫婦の共有財産がオーバーローン不動産しかない場合、財産分与の対象財産が無く、財産分与はできないことになります。