1 会社経営者の財産分与 会社経営者の方が離婚する場合、多くの収入を得ており多額の資産を保有している場合が多く、財産分...
財産分与 自動車
1 財産分与の対象となる自動車
原則として、婚姻期間中に夫婦いずれかが購入した自動車は、財産分与の対象財産となります。
2 自動車特有の問題点
(1)自動車の評価額の算出方法が分からない
まず、車検証等で、自動車の年式、型式、メーカー名等を確認し、走行距離計で走行距離を把握します。かかる情報をもとに、レッドブック(オートガイド自動車価格月報)を利用し、中古車の価格相場を参考に評価額を査定します。
インターネットの中古車販売サイト等で、車種、年式、走行距離等の近い車両の取引価格の平均値を参考に評価額を算定する方法もあります。さらに、中古車の価格を無償で算定している業者に査定を依頼することで、評価額を算出することもできます。
(2)自動車ローンが残っている場合の評価額の算出方法が分からない
自動車ローンが残っている場合、自動車の評価額から自動車ローン残額を差し引いた金額につき、財産分与を検討します。
自動車ローンの残額が自動車の評価額を上回る、いわゆるオーバーローンの状態であれば、原則として、自動車は財産分与の対象になりません。
(3)離婚後も自動車を使用したい
ア 自動車の名義人が自動車を使用し続ける場合、相手方に対して自動車の評価額(自動車ローンが残っている場合は自動車の評価額から自動車ローン残額を差し引いた金額)の2分の1を代償金として支払うことで、自動車の使用を継続することができます。
イ 逆に、自動車の名義人でない当事者が自動車を使用する場合、相手方に対して自動車の評価額(自動車ローンが残っている場合は自動車の評価額から自動車ローン残額を差し引いた金額)の2分の1を代償金として支払うことで、自動車の使用を継続することができるのですが、この場合、代償金の支払と引換えに、自動車の名義変更及び引渡しを行います。所有者の変更の時から15日以内に、管轄の運輸支局で名義変更の申請もする必要があります。
(4)自動車を売却したい
自動車を売却する場合、原則として、売却代金の2分の1ずつを、当事者それぞれが取得します。
自動車ローンが残っている場合、当事者が自動車の名義人であれば売却が可能ですが、利用しているローンによっては、支払い中の売却を禁止している場合もありますので、事前に確認するようにしましょう。一方で、ローンを組んでいるディーラーや信販会社が自動車の名義人の場合、原則として、ローンを完済するまでは売却をすることができません。