■目次 1. 離婚協議書とは 2. 離婚協議書に記載すべき内容 3. 離婚協議書を作成する流れ 4. 離婚協議書...
財産分与 生命保険
1 財産分与の対象となる生命保険
(1)貯蓄型生命保険
婚姻開始後別居時までに形成された共有財産と、実質的共有財産が、財産分与の対象となります。
共有財産とは、例えば、婚姻期間中に夫婦が取得した財産で、名義が夫婦共有名義の財産のことをいいます。
実質的共有財産とは、財産の名義は夫名義または妻名義であるけれども、実際には、婚姻期間中に夫婦が協力して取得した財産のことをいいます。そして、婚姻期間中に取得した財産については、原則として清算の対象たる財産であるとの事実上の推定が働きます。
例えば、夫が契約者となっている生命保険について考えます。
この場合、端的にいえば、婚姻後別居時までの保険料の払込期間に相当する解約返戻金相当額が、財産分与の対象になります。
夫が婚姻前から生命保険契約を締結し、保険料を支払っていた場合や、別居後に保険料の支払いを継続している場合は、婚姻前や別居後の払込期間に相当する解約返戻金は、財産分与の対象にはなりません。この期間に相当する解約返戻金は、夫婦が協力して築いた財産とはいえないからです。
(2)掛け捨て型生命保険
掛け捨て型生命保険は、解約返戻金が発生しないのが通常であるため、財産分与の対象にはなりません。もっとも、貯蓄型、掛け捨て型の区別は分かりにくい側面もありますので、念のため保険会社に問い合わせて、解約返戻金の調査、証明書を取得することをお勧めします。
2 生命保険特有の問題点
(1)解約返戻金相当額の調べ方が分からない
上記の通り、解約返戻金相当額は、契約者が保険会社に問い合わせることで確認することができます。保険証書を確認して、契約番号等を保険会社に伝えると、手続きがよりスムーズに進みます。
(2)夫(妻)がどのような保険に加入しているかが分からない
夫(妻)がどのような保険に加入しているかが分からない場合、預金通帳の取引履歴を確認することにより、加入している生命保険会社や保険料の金額を知ることができる場合があります。
また、弁護士会照会を利用して調査をすることもできます。
(3)保険を解約せずに財産分与をしたい
保険を解約せずに財産分与をする方法の一つとして、契約者から他の当事者に対して、婚姻後別居時までの解約返戻金相当額の2分の1の代償金か、同価値の他の分与財産を取得させるという方法があります。
また、分与の前提として、契約者や保険金受取人の名義を変更することもあります。
(4)学資保険の財産分与
学資保険は生命保険の一種と考えられていますが、学資保険については、少し異なる考慮が必要です。
まず、学資保険は、子ども名義の預金と異なり、財産分与の対象となることが通常です。
問題は、契約者(通常は保険金受取人)と、離婚後の親権者とが異なる場合です。即ち、保険金は契約者に支払われますので、親権者が保険金を受け取るためには、親権者でない契約者から、支払われた保険金を受け取る必要があり、煩雑となるからです。
この煩雑さを避けるために、離婚時に契約者変更手続きを取り、契約者(保険金受取人)と親権者を一致させておくことをお勧めします。