• トップページ
  • 解決事例
  • Q&A
  • ご相談の流れ
  • 弁護士費用
  • 弁護士紹介
  • アクセス

財産分与における離婚協議書作成の注意点とは?

 

1 離婚協議書とは

離婚協議書とは、夫婦が離婚するにあたって合意した離婚の条件を記載し、その内容を明確化するために作成する書面です。

離婚するにあたっては、様々な離婚の条件を決める必要があります。そして、離婚条件を決めるために夫婦で協議を重ねていきますが、多くの時間がかかってしまうことも珍しくありません。多くの時間をかけて離婚条件を決めたとしても、これを明確化していないばっかりに、「そんな条件で合意したつもりじゃなかった」と合意の内容に争いが生じたり、後になって「言った言わない」の議論になってしまえば、せっかく苦労して合意した条件も台無しになってしまいます。

そのため、合意した内容を明確に記載した離婚合意書を作成し、離婚条件についての証拠として残しておくことが大事です。

2 離婚協議書に記載すべき内容

夫婦で検討すべき離婚の条件については、以下の6項目を検討しておけば、最低限漏らさずに決定できます。

①親権者の指定
②面会交流
③養育費(婚姻費用)
④財産分与
⑤慰謝料
⑥年金分割

離婚で決めなければならない6項目について、詳しくは、こちらで解説しております。
離婚にあたって検討すべき6項目

夫婦にお子さんがいる場合には、まず、離婚後の①親権者を決めます。離婚後の親権者の指定は、離婚届にも記載する必要がありますので必須です。あわせて、離婚後離れて暮らす親とお子さんとの②面会交流や、③養育費についても決定します。

また、夫婦に婚姻中に築いた共有財産がある場合には、④財産分与について取り決めをします。どちらかに離婚原因(不貞やDVなど)がある場合には、⑤慰謝料を決める場合もあります。なお、④財産分与と⑤慰謝料については、あわせて解決金として、夫婦の一方から相手に対して金銭を支払う取り決めをすることもあります。

その他、夫婦の双方もしくはどちらか一方でも、サラリーマンや公務員として勤務したことがある場合には、⑥年金分割についても決定する必要も生じ得ます。

そのほか、住所や勤務先が変わった場合には連絡することなどを条項にすることも多いです。

3 離婚協議書を作成する流れ

以上に記載した6項目を基準に、それぞれの夫婦で決めるべき項目について話し合っていきます。決めるべき項目について、まずは夫婦それぞれの希望を出し、それぞれ譲歩できるところは譲歩して条件をすり合わせます。

通常は夫婦が本人同士で話し合いをして決めていくことになりますが、夫婦間に問題が生じたからこそ、離婚という道を選ばざるを得ない以上、夫婦同士の話し合いでは、お互いに感情的になって譲り合うことができず、話し合いにならない場合もあり得ます。そのような場合は、弁護士に離婚条件の協議を依頼することもできます。

夫婦間で決めるべき項目について、離婚条件の内容がすべて決まった場合には、離婚協議書を作成します。現在はインターネットなどに離婚協議書のひな形なども落ちていますので、自分たちで作成することもできますが、後になって合意の内容で揉めることが無いように、できれば専門家である弁護士に依頼をして離婚協議書を作成してもらった方がよいです。

離婚協議書が完成した場合には、双方最終確認をします。内容に問題が無ければ、離婚協議書を2通用意し、それぞれが署名押印をし、1通ずつ保管します。なお、協議離婚の場合には、別途離婚届の提出が必要になります。

4 離婚協議書の形式について

 ⑴ どんな形式でも構わない

離婚協議書は、どんな形式で作っても構いません。手書きでもいいですし、パソコンで作成しても構いません。題名も「離婚協議書」でなくても「離婚合意書」でも、単に「合意書」「協議書」でも大丈夫です。大切なのは、後日の紛争を防止するためにも決めた条件の内容を明確に条項にすることです。そのためには、離婚協議書はご自身で作成することもできますが、やはり専門家である弁護士に作成を依頼すべきです。

⑵ 離婚協議書の条項例(財産分与について)

上記のとおり、後日の紛争を防止するためには、夫婦で合意した条件の内容を、明確に条項にした離婚協議書を作ることが重要です。離婚にあたって、比較的大きな財産が動く財産分与に関する条項の例をいくつか挙げておきます。

①金銭について

甲は、乙に対し、本件離婚による財産分与として〇万円の支払義務があることを認め、これを〇年〇月〇日限り、乙が指定する以下の預貯金口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は甲の負担とする。

○○銀行○○支店

   普通

口座番号 ○○○○○○○

口座名義人 ○○○○

②預金について

甲は、乙に対し、本件離婚による財産分与として、甲名義の以下の預金債権を分与する。

   ○○銀行○○支店

   普通

   口座番号 ○○○○○○○

   〇年〇月〇日現在の残高 ○○○円

③不動産について

甲は乙に対し、本件離婚による財産分与として、以下の不動産を分与することとし、甲は、同不動産の乙に対する所有権移転登記手続に協力する。但し、移転登記手続に要する費用は乙の負担とする。

(登記事項証明書(登記簿謄本)を確認して、土地については、所在・地番・地目・地積、建物については、所在・家屋番号・種類・構造・床面積をそれぞれ記載して不動産を特定します。)

④自動車について

甲は乙に対し、本件離婚による財産分与として、以下の自動車の所有権を分与することとし、甲は、同自動車の乙に対する移転登録手続に協力する。但し、移転登録手続に要する費用は乙の負担とする。

(車検証を確認して、登録番号・積類・車名・型式・車体番号を記載し、自動車を特定します。)

⑤保険(学資保険)について

甲は下記学資保険の契約者及び受取人名義を乙に変更することに合意し、甲において、〇年〇月〇日までに変更の手続きを行う。  

 (保険証券を確認して、保険会社名、証券番号を記載して保険契約を特定します。)

5 公正証書を作成すべきか

⑴ 公正証書作成のメリット

① すぐ強制執行ができる

離婚協議書を公正証書とする最大のメリットは、強制執行認諾文言付の公正証書を作成することで、離婚協議書で約束をした金銭の支払いが約束通り支払われなかった場合に、裁判手続を経ずに直ちに強制執行手続をとることができることです。

金銭の支払いを約束した場合に、これが任意に支払われないときは、強制執行の手続きを取らなければなりませんが、そのためには、通常は裁判を提起して確定判決を得る必要があります。

しかし、離婚協議書を公正証書化して、公正証書の中に、金銭の支払いを怠った場合には、直ちに強制執行に服する旨陳述する文言(これを「強制執行認諾文言」と言います。)を入れることで、確定判決の代わりになります。したがって、強制執行をするために裁判を提起しなくて済みます。裁判は時間と手間がかかるので、これは大きなメリットです。

② 後日の紛争予防に資する

公証人とは、裁判官や検察官、弁護士を長く経験された方がなるのが原則です。そのような専門家が作る文書ですので、不明確な内容の条項は作りません。夫婦で合意した条件の内容が明確化されることで、後になって条項の内容を巡って紛争になるのをできる限り予防できます。

⑵ 公正証書作成のデメリット

① 費用と手間がかかる

公正証書の作成には、公証人へ支払う手数料がかかります。財産分与や養育費の金額によって変動しますが、概ね5万円程度です。

また、公証人の日程を予約して、通常は夫婦そろって公証役場に出向く必要があります。

このように、公正証書の作成には費用と手間がかかります。

⑶ 離婚協議書を公正証書で作成すべきか

金銭の支払いを受ける側は、絶対に強制執行認諾文言付の公正証書を作成すべきです。裁判には大きな手間と時間、費用がかかります。任意に金銭の支払いがなされなかった時に、裁判手続が不要になるメリットはとても大きいです。

反対に、金銭の支払いをする側は、強制執行認諾文言付の公正証書を作った場合、万が一、支払いができなくなってしまった場合には、裁判手続を経ずに直ちに給料の差押えなどの強制執行がされてしまいます。しかも養育費の支払いの場合には、給料の半額まで差押えが許されています。金銭の支払いを受ける側のメリットは、反対に金銭の支払いをする側にとっては、大きなデメリットになってしまいます。

6 当事務所でサポートできること

離婚協議書の作成について、最も大事なことは、話し合って決めて条件の内容を明確な条項にすることです。

特に財産分与については、大きな金額が動くこともあり、その条項については、後日条項の内容を巡って紛争にならないように注意が必要です。

弁護士に離婚協議書の作成を依頼された場合には、夫婦同士で決めた条件を箇条書きにでもしてもらえれば、詳細については別途聞き取りをするなどしていくことで、離婚協議書を作成できます。慣れない離婚協議書の作成には、多くの時間と労力を要する可能性が高いですが、弁護士に依頼することで、時間と労力を省くことができます。

当事務所は初回相談1時間無料です。財産分与でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

財産分与の最新記事

離婚・慰謝料・財産分与の無料相談

離婚・男女トラブルに関するご相談メニュー

PAGE TOP