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専業主婦でも財産分与を受け取ることができると聞きました。実際にはいくらくらい受け取ることができるのでしょうか?

Answer

財産分与の対象となる夫婦共有財産について、2分の1の割合で財産分与を受け取ることができるのが原則です。離婚の実務では「2分の1ルール」と言われています。ただし、具体的な財産分与の金額は個々の状況によって異なります。

Point

1 財産分与の割合は2分の1が原則(2分の1ルール)

財産分与とは、夫婦の協力関係によって取得した「夫婦」共有財産の清算をする制度です。そして、専業主婦であっても、家事労働をすることにより、夫婦の共有財産の形成に貢献したと評価されるので、財産分与を受け取ることができます。     

一昔前は、家事労働が正当に評価されずに、「夫60%:妻40%」「夫70%:妻30%」など、外で仕事をする夫の分与割合が高く判断される裁判例も多く見られました。

しかし、現在では、(特に女性の)家事労働もきちんと評価すべきと考えられており、たとえ専業主婦であっても、「夫50%:妻50%」を原則とする「2分の1ルール」が離婚実務上の原則として確立されています。

したがって、専業主婦であっても、原則2分の1の割合で財産分与を受け取ることができます。ただし、夫と妻、どちらの名義で財産が存在するかなど、個別の事情によって具体的な分与額は異なります。

2 専業主婦が実際に受け取ることのできる財産分与の金額は?

専業主婦の場合、共働きのダブルインカムの場合と比較して、夫婦の一方しか働いていないため、どうしても世帯全体の収入は少なくならざるを得ません。その結果、相対的に財産分与の金額は低くなる傾向にあります。下の表は、司法統計というもののうち、家庭裁判所における調停離婚・審判離婚における財産分与額の抜粋ですが、具体的な財産分与の金額は、低い金額が多くなっており、100万円以下が最も多い件数となっています。この司法統計は、家庭裁判所における手続き(調停離婚・審判離婚)によって離婚した夫婦が前提になっていますので、協議離婚における財産分与の金額は網羅できていませんが、財産分与の金額はあまり大きくなっていないのが現実ではないかと思われます。

財産分与の金額

件数

100万以下

1552件

200万以下

762件

400万以下

899件

600万以下

546件

1000万以下

653件

2000万以下

539件

2000万以上

259件

参考:https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/261/012261.pdf

専業主婦であっても、夫とともに2分の1の割合で財産分与を受け取ることができるのが原則です。そして、一般論としては、専業主婦の場合、どうしても世帯収入が少なくなりがちですので、相対的に財産分与の金額は低くなりがちです。

しかし、仕事をしている夫が高額所得者である場合、収入に比例して財産分与の対象となる夫婦共有財産が多くなります。そして、よほどの高額所得者でない限り、2分の1ルールの原則がそのまま適用されるものと考えられています。現役裁判官による著書においても、数千万程度の収入であれば、2分の1ルールを維持するものと言われています。その結果、配偶者が高額所得者である場合には、財産分与の金額は、専業主婦であっても高額となり得ます。

当事務所では、高額な収入を得られている方の多い、お医者様の離婚、特に財産分与について多くのご相談をお受けしております。相談だけでも結構です。財産分与についてお困りの際は、是非一度当事務所にご相談ください。

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