事例紹介 依頼者:妻 40歳台(会社員) 相手方:夫 40歳台(会社員) 夫は数年前から仕事上のストレスが原因とな...
元夫と離婚し、養育費について毎月3万円を支払ってもらうように取り決めをしましたが、7年前から支払いがありません。今からでも請求できますか。
Answer
月々の養育費については、取り決めをした支払期日から5年を過ぎていない分は請求できます。支払期日から5年を経過してしまった分は、残念ですが請求はできません。
Point
月々の養育費の消滅時効は5年間です。
この点、2020年4月1日に民法が改正され、消滅時効についても改正がありました。月々の養育費については、改正前の民法では、「年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権」として、5年間で消滅時効に該当しました(改正前民法169条)。一方、改正後の現行民法では、改正前民法169条は削除されましたが、「債権者が行使することができることを知ったときから5年間行使しないとき」は、債権は消滅時効によって消滅するとされています(現行民法166条1項1号)。月々の養育費の取り決めをした以上、支払期日が到来した時点で、権利行使できることを知っていたはずですので、支払期日から5年で消滅時効によって消滅することになります。
もっとも、消滅時効には「時効の更新」(改正前民法では「時効の中断」といいました)という制度があります。例えば、元夫が4年前に「支払えていない養育費も必ず支払うから少し待ってほしい」と言ってきたような場合には、「時効の更新」事由である債務の承認に該当するため、その時から新たに5年間が経過しなければ消滅時効は完成しないこととなります。
なお、インターネットサイトでは、家庭裁判所の審判や調停により養育費を取り決めた場合には、養育費の消滅時効は10年と説明されているものもありますが、正確ではありません。
確かに、現行民法169条1項(改正前民法では174条の2第1項)では、審判や調停等によって確定した権利については、時効期間は10年としています。しかし、同条2項は、同時に、弁済期の到来していない債権については、同条1項の規定を適用しないと定めています(改正前民法174条の2第2項も同様に規定します)。月々の養育費は、取り決めをした時点では弁済期が到来していませんので、審判や調停により養育費の取り決めをしても、消滅時効の期間は10年とはならず、5年のままということになります。審判や調停の取り決めにより、消滅時効の期間が10年間に伸びるのは、例えば調停成立時に既に支払期日が到来しており支払いが滞っていた養育費をまとめて支払う約束をしたような場合の養育費であって、将来支払いを約束した月々の養育費はこれには当たりませんので注意が必要です。
いずれにしても、養育費は、お子さまの健全な成長にとって大切な費用です。養育費の未払いがある場合には、早急にご相談ください。
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