■目次 1. 離婚協議書とは 2. 離婚協議書に記載すべき内容 3. 離婚協議書を作成する流れ 4. 離婚協議書...
養育費・婚姻費用を決める基準を教えてください。
Answer
家庭裁判所では、ほとんどの場合、平成15年4月に提案された「標準的算定方式」によって決定されます。また、あわせて家庭裁判所からは「標準的算定方式」に基づく算定表が発表されており、調停等ではこれを基準に話し合いが進められます。
なお、家庭裁判所の算定表は以下をご参照ください。
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html
Point
養育費・婚姻費用に関して、家庭裁判所の調停では、ほとんどの場合、上記の算定表を基準に話し合いが行われます。話し合いによって合意が得られない場合には、審判に移行し、審判官(裁判官)が婚姻費用・養育費を決定することになりますが、この場合も、算定表のもととなった「標準的算定方式」によって決定されることがほとんどです。なお「標準的算定方式」及びこれに基づく算定表は、令和元年12月23日に改訂され、若干ですが増額される結果となっています。
算定表によって、簡単に目安となる金額を知ることができますが、算定表は、義務者の所得に関して、上限が、給与所得で2000万円まで、事業所得で1567万円までとなっています。そこで、以下の家族構成を例に、「標準的算定方式」の計算方法を説明します。
(例)義務者:夫・給与所得800万円、
権利者:妻・給与所得200万円
子ども2人(16歳、10歳)は妻が監護養育
(1)婚姻費用について
① 基礎収入
まず、権利者・義務者とも算定の基礎となる基礎収入を求めます。
基礎収入は、総収入に以下の総務省統計局発表の「統計資料に基づいて算出された標準的な割合(※1)」をかけて算出します。
なお、総収入とは、給与所得者では源泉徴収票の支払金額、事業所得者では、概ね確定申告書の「課税される所得金額」に、実際に支出されていない費用(例えば,基礎控除,青色申告控除,支払がされていない専従者給与など)を「課税される所得金額」に加算した金額となります。
具体例では、
夫:800万円×40%=320万円
妻:200万円×43%=86万円
となります。
「統計資料に基づいて算出された標準的な割合(※1)」
給与所得者の場合 | 事業所得者の場合 | ||
---|---|---|---|
給与収入(万円) | % | 事業収入(万円) | % |
0~75 | 54 | 0~66 | 61 |
~100 | 50 | ~82 | 60 |
~125 | 46 | ~98 | 59 |
~175 | 44 | ~256 | 58 |
~275 | 43 | ~349 | 57 |
~525 | 42 | ~392 | 56 |
~725 | 41 | ~496 | 55 |
~1325 | 40 | ~563 | 54 |
~1475 | 39 | ~784 | 53 |
~2000 | 38 | ~942 | 52 |
~1046 | 51 | ||
~1179 | 50 | ||
~1482 | 49 | ||
~1567 | 48 |
② 生活費指数
次に、権利者側・義務者側、双方の世帯の生活費指数を求めます。
生活費指数は、成人を100として、0~14歳の子は62、15歳以上の子は85として算出します。
義務者側=夫:100
権利者側=妻:100+子16歳:85+子10歳:62=247
③ 権利者側に割り振られる婚姻費用の算出
②で求めた生活費指数を使って、家族全体の婚姻費用(=義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)のうち、権利者側に割り振られる婚姻費用を以下の計算式で求めます。
権利者側に割り振られる婚姻費用
=(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)
×【権利者側の合計指数÷(権利者側の合計指数+義務者側の合計指数)】
具体例では、
(夫320万円+妻86万円)×【247÷(247+100)】
=406万円×【247÷347】
≒289万円
④ 義務者の分担額の算出
③で求められた金額をもとに、義務者の分担額を以下のとおり算出します。
義務者の分担額
=権利者側に割り振られる婚姻費用-権利者の基礎収入
具体例では、
289万円-妻の基礎収入86万円=203万円
以上は年額ですので、12月で割ると、月額の義務者の分担額を求めることができます。
203万円÷12月≒16万9000円
(2)養育費について
① 基礎収入
まず、婚姻費用と同様に、権利者・義務者とも算定の基礎となる基礎収入を求めます。
基礎収入
=総収入×「統計資料に基づいて算出された標準的な割合(※1)」
具体例では、
夫:800万円×40%=320万円
妻:200万円×43%=86万円
② 子の生活費指数
次に、子どもの生活費指数を求めます。婚姻費用同様、成人を100として、0~14歳の子は62、15歳以上の子は85として算出します。
子16歳:85+子10歳:62=147
③ 子の生活費の算出
②で求めた子の生活費指数をもとに、具体的な子の生活費を算出します。
子の生活費
=義務者の基礎収入×【子の指数÷(義務者の指数+子の指数)】
具体例に当てはめると、
夫:320万円×【子:147÷(夫:100+子:147)】
=320万円×147/247
≒190万4000円
④ 義務者の分担額の算出
③で算出された子の生活費を義務者と権利者の基礎収入で按分した額が義務者の分担額となります。
義務者の分担額
=子の生活費×【義務者の基礎収入÷(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)】
=190万4000円×【320万円÷(320万円+86万)】
≒150万円
以上は年額ですので、12月で割ると、月額の義務者の分担額を求めることができます。
150万円÷12月=12万5000円
算定表のもととなった「標準的算定方式」の計算方法は以上のとおりです。ご覧いただいたとおり、若干複雑な計算が必要となりますので、算定表では算出できない場合は、当事務所にお気軽にご相談ください。
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