■目次 1. 離婚協議書とは 2. 離婚協議書に記載すべき内容 3. 離婚協議書を作成する流れ 4. 離婚協議書...
株式を購入するなど投資を行った資産を特有財産と主張し認められた事案
【事案の概要】
離婚/慰謝料の別 離婚
理由 夫の浪費行為、モラハラ
依頼者 性別:女性 年代:40代 職業:専業主婦
相手方 性別:男性 年代:50代 職業:会社員
子ども 有(2名)
手続き 調停
解決までの期間 依頼から10か月程度
【来所のきっかけ】
夫はだいぶ以前から浪費行為を繰り返していたようで、ある日突然、自宅に金融機関からの督促状が届いたことで夫に多額の借金があることが発覚した。妻が夫を問い詰めたところ、総額は1000万円ぐらいあることが分かったが、夫は妻に対して親族からお金を借りてほしいとか、自宅を売却して返済しようなどと家族のことを無視した発言に終始した。
妻は夫のそのような態度に呆れ果て、離婚を決意してその旨を夫に伝えたが、夫は離婚したくないの一点張りの対応であった。妻は自分一人では解決できないと思い、自分に代わって離婚協議を進めてくれる代理人を探すため、当事務所の法律相談に訪れた。
【事案の概要】
本件では、離婚の成否のほか、妻に多額の特有財産があったことから、財産分与が主な争点となった。具体的に言うと、妻は自分の親から多額のお金を相続し、長年にわたって株式を購入するなど投資を行ってきた経緯があり、その結果、多額の資産(5000万円程度)を有する状態となっていた。
離婚協議が始まると、夫は、妻名義のこのお金も共有財産であると主張し、離婚に応じる条件として多額の財産分与を求めてきた。
【争点】
離婚の成否
財産分与(特に、妻の多額の特有財産)
養育費
【解決内容】
妻の代理人に就任し、夫が任意の交渉に応じる可能性があまりないことが分かっていたので、早急に離婚調停を申し立てた。
調停の最初の段階では、夫は離婚については吝かではない様子であったが、借金の返済が残っているためか、財産分与については妻名義の資産の半分を分与してほしいと強く主張した。
当方は、この夫の主張に対して、妻名義の資産の多くが特有財産であることを主張書面で丁寧に説明し、裁判所の調停委員及び相手方である夫の理解を得られるように努めた。
そうしたところ、調停委員は当方の特有財産であるとの主張を理解してくれ、夫を数回の期日にわたって説得してくれ、少し時間はかかったものの、妻から夫に対して300万円の解決金を支払うという内容で調停が成立し、離婚を達成することができた。
【解決のポイント】
婚姻機関中に取得した夫婦の財産は、原則として、共有財産であるとの推定が働くことから、特有財産であるとの主張は実はけっこう難しい場合が多い。例えば、独身時代に貯めた預金等を特有財産であると主張する場合において、当該口座に婚姻後の生活に関する入出金がある場合は特有財産であるとの主張が認められない可能性もある。
本件も、妻名義の口座のなかで特有部分と共有部分が混在していたため、訴訟でギチギチと争った場合は違う判断となった可能性も否定できないが、調停の初期の段階で妻の口座のお金の動きを書面で丁寧に説明したことにより、調停委員や相手方の理解を得ることができ、最小限の解決金を支払うことで解決できる結果となった。
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