■目次 1. 離婚協議書とは 2. 離婚協議書に記載すべき内容 3. 離婚協議書を作成する流れ 4. 離婚協議書...
私は専業主婦で、夫は大阪市内で会社を経営していますが、会社名義の自社ビルは財産分与の対象になりますか?
Answer
残念ながら、会社名義の財産は、財産分与の対象とはならないのが原則です。もっとも、会社名義であっても、夫婦の共有財産を使って購入した財産であれば、財産分与の対象となり得ます。
なお、会社名義の財産は、原則財産分与の対象とはなりませんが、夫婦の共有財産から出資をして会社を設立した場合には、会社名義の財産の価値を前提とした会社株式が財産分与の対象となります。
Point
財産分与とは、夫婦の協力関係によって取得した「夫婦」共有財産の清算をする制度です。夫が経営する会社であっても、夫と会社は別の法人格(権利の主体のこと)です。夫の経営する会社の財産であっても、夫自身の財産ではなく、そそのため「夫婦」の共有財産にはあたりませんので、夫の経営する会社名義の財産は、財産分与の対象とはならないのが原則です。
したがって、夫の会社名義の自社ビルは、原則として財産分与の対象とはなりません。
もっとも、会社名義の財産であっても、夫婦の共有財産(例えば夫婦の預貯金など)を使って購入された場合、その財産は、夫婦の共有財産が形を変えたものとして存在していると評価できます。このような場合には、たとえ会社名義の財産であっても、夫婦の共有財産と同視できますので、財産分与の対象となり得ます。
したがって、会社名義の自社ビルが、夫婦の共有の預貯金を使って購入された場合には、会社名義であっても、例外的に財産分与の対象になり得ます(但し、夫婦共有財産によって購入されたことを証明する必要があります)。
なお、株式会社を設立する場合、会社に出資金を拠出し、その出資金に応じた会社の株式を取得することになります。夫の会社設立の出資金に、夫婦の預貯金など夫婦の共有財産が充てられた場合、たとえ会社株式が夫名義であったとしても、会社株式は夫婦の共有財産が形を変えたものと評価できますので、財産分与の対象となります。会社が持っている財産については、財産分与の対象とはならないのが原則ですが、財産分与の対象となる会社株式の価値を評価するにあたっては、会社名義の財産の価値が反映されることになります。
したがって、夫が会社を設立する際に、夫婦の共有財産が出資金に充てられた場合には、夫が取得した会社株式は、財産分与の対象となります。そして、会社株式の評価にあたっては、会社名義の自社ビルの価値も考慮されることになります。あくまで間接的ではありますが、自社ビルが財産分与の対象となっていると評価し得ます。
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